美人時計がウェブ版をスタートしたのは2009年1月1日だが、3月にはiGoogle向けにガジェットを、5月にiPhoneアプリやMac OS Xのダッシュボード向けを、それぞれ矢継ぎ早にリリースした。これでページビューはグンと伸びたが、困ったのは技術担当者だった。
一般的なウェブサイトと異なり、利用者全員が1分置きにリロードするというアクセスパターンが特殊であった上に、ガジェットとしての提供を始めてからはアクセスが急増し、サーバ2台ではさばききれなくなってきたのだという。

美人時計のガジェット版。現在はiGoogleやmixiなどで利用できる
2009年夏にエンジニアとして入社した中根弘祥氏は当時を振り返ってこう述べる。
「あるホスティング事業者のサービスを使って10台の仮想サーバに移行していたのですが、思うように運用できませんでした」
仮想サーバは、実際の物理サーバ数より少ない台数のサーバ上で動くが、どの物理サーバ上で動くかは利用者から見えない。しかし、実はこうしたサービスでは「どの程度ヘビーに使うユーザーと物理サーバをシェアするか」は結構大事なポイントとなる。そこで、利用申請のタイミングをずらすことで仮想サーバの稼働する物理サーバがバラけるように、という対処をしていたという。
美人時計ほどの人気サービスともなれば、ほかのサービスとは段違いのトラフィックが発生する。「3、4時間で数GBのアウトバウンドトラフィックが発生することもあり、その当時利用していたホスティング事業者から上位プランに移行してくれと言われるようになりました。そうこうしているうちに定期メンテナンスの回数が異様に増えていったんですよね……」(中根氏)。
このときに移転先として検討を始めたのが、さくらインターネットのホスティングサービス「専用サーバ Platform St」だったという。