http://tanaka.sakura.ad.jp さくらインターネット創業日記: 2009年11月アーカイブ

2009年11月アーカイブ

本日、さくらのマネージドサーバATOMプランをリリースしました。
これは、従来より要望の多かった、さくらのレンタルサーバ占有版と言えるサービスです。

さくらインターネットは、専用サーバ1万台突破と、さくらのレンタルサーバの20万ユーザ突破を、相次いで達成しました。
現在、専用サーバにおいては、信頼性と自由度が高くエンタープライズ用途にも耐える「専用サーバプラットフォーム」や、よりリーズナブルに自由な構成を実現できる「専用サーバプラットフォームSt」、メーカー製のサーバを初期費用なしで利用できる「専用サーバアドバンスドプラン」、価格的なメリットを強調した「専用サーバエントリープラン」など、幅広い商品ラインナップでお客様のニーズにこたえてきました。
また、さくらのレンタルサーバについては、125円で利用できるライトプランのほか、ビジネスプランの投入によって性能や信頼性の向上を実現し、法人ユースにも耐える定番のホスティングサービスへと成長しました。
その上で、専用サーバのように専有できる形態でありながら、サーバ管理を自前で行わなくてもよいマネージド型サービスへの要望を多く頂いておりました。

そのため、専用サーバで培った信頼性と運用効率を生かしながら、さくらのレンタルサーバにおいて利用実績の高いホスティングシステムを搭載を活用した、さくらのマネージドサーバを投入することとなりました。

今回は、先行してATOMプランの投入となりましたが、今後さらにハイスペックなサーバを利用した上位プランの投入も予定しております。
申し込み受け付けは12月10日からですので、ぜひご利用ください。

新サービス「さくらのマネージドサーバ」Atomプラン提供開始のお知らせ
http://www.sakura.ne.jp/news/archives/20091130-002.news

何かと話題の事業仕訳。
蓮舫が「(コンピューター性能で)世界一を目指す理由は何か。2位ではだめなのか」などと発言して、かなりのひんしゅくを買っているのはみなさんご存じのとおりです。


しかし、本当に今回のスパコンは必要なのか?


正直なところ、今回のスパコンなんて無くても、大して困りません。
一度予算をカットされて、頭を冷やしたほうが良いでしょう。

今となっては、グラフィックボードのGPUを活用して演算ができる時代です。
今回のスパコンで利用する予定のsparcチップがどれだけ素晴らしかったとしても、そこそこの性能が出るIntel Xeonなどを活用した計測計算機作りをするほうが、産業の広がりがあるというものです。(NECはIntelと共同で、ベクトル演算拡張をCPUに入れる研究をしているそうですし)
本当に、1からCPUを設計し、世界中のエンジニアの度肝を抜くようなプロジェクトでない限り、大量の予算をつけるのは無駄です。


ちなみに、既存のチープなCPUやGPUでスパコンづくりをしているプロジェクトは山ほどあります。
スパコン開発で「ゴードン・ベル賞」 長崎大助教ら受賞 「国内最速」安価で実現
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/136999

昨年の話ですが、Sonyや東芝が開発した和製のCellを利用したIBMのスパコンもあります。
IBMのスーパーコンピュータ、1ペタFLOPSを達成--PS3のCellを使用
http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000056022,20375049,00.htm


ちなみに、IBMはPOWER7で10PFlopsを目指すそうです。これは、今回のスパコンプロジェクトの目標値と同じです。
ハッキリ言って、1位になれないのが分かっているプロジェクトに意味はありません。
1位かそれ以外。スパコンの世界はその2つしかありません。
2位ではだめなのです。
オンリーワンではなく、ナンバーワンでなければならないのです。

それらの活動を通じて、研究者・技術者が世代のバトンタッチをし、いつまでも日本がスパコンで認められる国にならなければなりません。


今後、草の根で起こり始めている国内のスパコンプロジェクトをよく吟味し、気合いを入れてプロジェクトを立て直し、国税をたっぷりとつぎ込んで日本の真価を世界に知らしめること。この方向性を、政治家、科学者、官僚がしっかりと握り、世界に冠たる科学技術大国になってほしいと心から願います。

結局、スパコンプロジェクトはかなり「怪しい」「妖しい」ものであるのは否定できません。
その上で、今回の問題はスパコンが否定されたことではなくて、「1番でなくてもいい」「科学技術予算が投資ではなくコスト」という言葉が国民の代表から発せられたことが、一番憂うべき事態だと思うわけです。

日本が技術以外、何で生きていくというのでしょうか・・・。

私がやりきれないのは、科学立国で生きているくせに、それの重要性を理解しようとすらしない、政治家たちの貧困さなのです。


P.S.
日本の研究者の方で、HPCの研究をしたいという方がおられれば、ぜひ共同研究をしましょう。
データセンターファシリティとサーバであれば提供できます。
できれば、チープなマシンを何千台も並べて、ひとつのコンピューティングリソースとして共用できるプロセッシングファームを作りたいと思っていますから。
いつか、スパコンは「スーパーコンピューター」から「スーパーコンピューティングファーム」となって、もっとたくさんの人が恩恵に与かれる日が来ることを願っています。

昨日のことですが、専用サーバ(エントリープラン)の翌営業日提供開始についてのリリースをしました。

専用サーバ エントリープラン翌営業日サービス提供開始のお知らせ
http://museum-web2.sakuraha.jp/19990125102957/news/archives/20091125-002.news

最近、リソースをすぐに追加したい!いらなくなったら解約したい!という要望が高まってきました。
このサービスは、そのような要望に答えるためのもので、もちろん別途費用はかかりません。
オンラインサインアップにてクレジットカード払いにして頂ければ、翌営業日にはIPアドレスとパスワードが届くということで、急な増設にも素早くこたえます。
なお、専用サーバ(エントリープラン)の場合、最低利用期間は3カ月ですので、それさえ過ぎれば前月20日までに申請するだけで、いつでも解約ができます。

最近、クラウドコンピューティングに注目が集まっていますが、専用サーバでできることもたくさんあります。欲しい時に欲しいだけ、すぐに用意するということは、専用サーバで十分可能ですし、数百件レベルでサーバの開通をしているさくらインターネットだからこそできるサービスだと考えています。

今後、クラウドコンピューティングの強みもはっきりと認識しながら、専用サーバで出来ることはこれからも広げていきますので、今後もご期待下さい。

専用サーバ: http://server.sakura.ad.jp/dedicated/entry/index.html

自己紹介

本名:田中邦裕/1978年生まれ
1996年にさくらインターネットを創業しホスティングサービスを開始。 98年に有限会社インフォレスト(2000年に解散)設立後、翌年にさくらインターネット株式会社を設立して社長に就任。
05年に東証マザーズに上場
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