さくらインターネットが求める「インフラエンジニア」の人材像とは?
司会 : まずは田中社長に、さくらインターネットの技術職で求められる人材像について、簡単に教えていただきたいと思います。
田中 : とにかく好奇心があって、技術が好きな方に来ていただきたいと思っています。プログラミングにせよサーバ運用にせよ、その分野に深い興味を持っていて、集中できる人がいいですね。逆に言えば、そういう人にとってさくらインターネットの環境は、この上なくメリットがあると思います。何しろ、多種多様かつ大量のサーバを扱うことができるわけですから、技術指向の方にとってはとても恵まれた環境だと思います。業務ですからもちろん自腹を切っていただくことはありません(笑)
司会 : なるほど。では、実際の開発現場ではどのような仕事を行っていて、どのような人材を求めているのでしょうか?
加藤 : 私がマネージャーを務める開発部 開発第一チームは、専用サーバサービスやハウジングサービスのサーバ/ネットワークインフラの設計・開発を担当しています。サーバに関して言えば、さまざまな機種を比較検証して実際に導入するものを選定し、よりコストパフォーマンスの高いサービスの実現に貢献することが主なミッションになります。ネットワーク機器もそうなのですが、われわれの機器選定がそのままサービスの品質に直結するので、限られた時間の中でも細かいところまでこだわって、技術を突き詰めて考えられる人材が求められます。また、インフラ全体の設計も行っていますから、信頼性や安定性の観点から、システム全体の最適化を考えることができるスキルも必要です。
後藤 : 私が担当する開発第二チームは、もともとレンタルサーバや共用サーバのサービスを担当していたのですが、最近ではあらゆるサービスのフロントエンド部分や、バックエンドの制御部分など、アプリケーションやミドルウェアの分野を全般的に担当しています。求める人材のタイプとしては、「ある特定の技術に強い人」と「全体最適化の観点からシステムを見られる人」のどちらも必要なのですが、現時点ではどちらかというと後者の人材が不足していますね。われわれのチームが行う仕事は、お客さまに提供するサービスの内容に直結しますから、特定の技術だけではなくシステム全体、ひいてはサービスの観点から開発や設計に当たることができる人材を求めています。
田中 : つまり、われわれが求めているのは「インフラエンジニア」なんですね。さまざまな技術分野を広く薄く網羅しながら、かつ得意分野も持っている。そんなエンジニア像が今後は求められてくると思います。特定の分野だけを極めているエンジニアも確かに必要なのですが、そういう人が持っているノウハウというのは得てして属人化しがちで、会社の中で共有されにくいんです。それに、その人が会社を辞めてしまえば、ノウハウはそのまま失われてしまうわけですからね。
逆に、広く薄く知っている人同士の方が、社内でのノウハウの共有は進むんです。従って、そういう人材を多く抱えている会社の方が、全体としての技術力は向上すると思います。さくらインターネットもまさに今、そうした方向に進んでいますから、例えばサーバのことしか分からないサーバエンジニアであっても、当社でキャリアを積めばいろんな分野を広くカバーできるインフラエンジニアに成長できるはずです。
運用部門と研究部門で求める人材とは?
司会 : 次に、運用部の仕事内容と求める人材像について、運用部マネージャーの対馬さんにお伺いしたいと思います。
対馬 : 運用部は、IDCチームと技術チーム、そしてカスタマーサポートチームの3つのチームに分かれています。具体的にはシステムの構築や保守、監視、それにお客さまからいただいたお問い合わせへの対応などの業務を行っています。お客さまのサービスやデータを直接お預かりして運用するのが仕事ですから、単に仕事をルーチンとしてこなすのではなく、やはりお客さまの視点に立って日々の仕事に取り組める人材が望ましいですね。また、運用の仕事を通じてインフラやサービスの幅広い知識を身に付けることができますから、開発者としてのキャリアへ向けた第一歩としても、運用部の仕事は向いているかもしれません。実際に、運用部から開発部に異動するメンバーも数多くいます。
司会 : さくらインターネットには、さくらインターネット研究所(以下、研究所)という部門もあります。鷲北さんはそこで所長を務めていらっしゃいますが、研究所では一体どのような仕事をされているのでしょうか?
鷲北 : 研究所は2009年7月に設立されたのですが、「面白い技術にどんどん取り組んでいく」ということをモットーに日々の研究業務に取り組んでいます。具体的には、3~5年ぐらいの中長期的スパンで将来を見据えた際に、さくらインターネットのビジネスにとって必要になるであろう技術の研究・調査、さらには実際のサービスや運用への落とし込みの検証などを行っています。研究成果は社内にはもちろん、講演やセミナー、学会などを通じて社外にも発信していますし、また雑誌や書籍の執筆なども行っています。
司会 : 研究所では、どのような人材を求めているのでしょうか?
鷲北 : 一言で言うと、自律性の高い人ですね。研究業務では、単にトレンドを追いかけるのではなく、まだ世間であまり知られていない技術や埋もれている技術の中から有望なものを自ら発掘してきて、その実用性を検証していくことになります。従って、単に上から言われた通りのことをやるのではなく、自律的に自らどんどん行動していくことが求められます。また、研究の内容や成果を正確に第三者に伝えることができるプレゼン力や文章力など、総合的なコミュニケーション能力も求められます。
後藤 : とにかく、いろいろなことに幅広くチャレンジできるのがさくらインターネットのいいところだと思いますね。例えばWebアプリの設計者が、ラックの設置まで含めたシステム全体を見渡すことができます。
鷲北 : もともとさくらインターネット自体が、創業当初からサービス指向が強い会社でしたからね。優れたサービスをお客さまに提供するには、インフラから自社でやらないといけない、という発想でデータセンターの業務を行っていますから。こういう発想でやっているデータセンター事業者は、他にはあまりないでしょう。
田中 : 当社は「正統派のインターネットサービス会社」なんですね。Webサービスではなくて、インターネットサービス。インフラをそのままお客さまにお貸しするのではなく、インターネットサービスとして貸し出すということです。データセンターはサービス提供のための手段であって、目的ではないんです。
さまざまな職歴を持った中途採用社員に加え、新卒・既卒社員も
司会 : ちなみに、現場の社員にはどんな性格の人が多いと感じていますか?
加藤 : 開発部は、とても真面目な人が多いですね。普段の仕事では皆、一心に仕事に打ち込んでいます。でもその分、夜の飲み会などではわいわい騒いでいます。公私の区別がしっかりついているという印象を受けます。
対馬 : 運用部のメンバーはちょっと変わった職業を経験している人もいますね。IT業界に限らず、工場勤務や自衛隊出身の人までいます。逆に言えば、そういう多彩なキャリアを持った方でも、データセンター業界で活躍できる場があるということですね。
鷲北 : 実際、インターネット業界やデータセンター業界から転職してきた人と、まったく関係ない業界から転職してきた人の両方がいますが、どちらも等しく活躍していますね。
田中 : 当社では新卒の定期採用は基本的に行っていないのですが、新卒や既卒の応募者を採用したケースは結構多いですね。
鷲北 : 実は研究所の4人のメンバーのうち、3人は大学を卒業してすぐ入社してきました。それも、特に新卒採用を募集していないにもかかわらず、「さくらインターネットで働きたい!」という熱意だけで履歴書を送ってきた人たちです。それだけ当社に強い思い入れを持って入ってきてくれるというのは、うれしいことだと思います。
田中 : ですから、学生さんでさくらインターネットで働きたいと思っている方は、新卒の定期採用をやっていないからといってあきらめずに、何はともあれ一度履歴書を送ってみてください。(笑)いつでも歓迎します。
さくらインターネットでこそ可能なチャレンジやキャリア形成
司会 : もしさくらインターネットに入社したら、どんなチャレンジができて、そしてどのようなキャリア形成が可能なのでしょうか?
対馬 : 運用部ではシステム監視から機器の搬入・設置の力仕事まで、幅広い仕事をこなさなくてはいけないのですが、本人の意欲次第では仕事を効率的にこなすノウハウや、幅広い技術スキルを業務を通じて身に付けることができます。その結果、先ほども紹介したように社内の他部署への異動もできますし、もし他社に転職することになったとしても、インフラエンジニアを堂々と名乗れるぐらいのスキルは身に付けてもらえるはずです。
後藤 : 開発の仕事は、トライ&エラーの繰り返しです。パフォーマンス検証1つとってみても、技術の非常に深いところまでトライ&エラーを繰り返しながらとことん追いかけていきます。当社サービスについては、ユーザーの数が非常に多く、我々の想像を超えたご利用をされるお客さまも多いので、技術の裏の裏まで知ることができます。こういう体験は当社ならではでしょうから、特に技術を突き詰めたいと考えている方にとっては、さくらインターネットの環境は非常に貴重だと思います。
加藤 : インフラエンジニアの仕事に加えて、機器調達やベンダーとの折衝、さらにはサービスをリリースした後のサポートまで、いろんな仕事も体験できます。インフラ関係のスキルを軸にしながらも、その周辺のさまざまなスキルを延ばしていけるのも、さくらインターネットの開発の仕事の特徴だと思っています。
鷲北 : 研究所の仕事も、単なる研究だけに終わらずに、実際に社内の開発部門や運用部門が研究成果をサービス化しますから、研究職でありながらユーザーの反応に直に接することができます。これは、研究職にとっては非常にエキサイティングな環境だと思います。一方で研究職には、常に将来を見据えて最先端を行かなくてはならないというプレッシャーも付きまといます。自分では新しいと思っていた技術も、あっという間に実用化されて陳腐化していくのがインターネットの世界です。逆に言えば、「常に最先端を行く」というチャレンジにやりがいや楽しみを見出せる人にとっては、打って付けの職場ではないでしょうか。
田中 : やはり当社はデータセンターとサービスの両方を手掛けていますから、いろんなことに幅広くチャレンジできるのが働く人にとっての最大のメリットだと思います。業務の中で本当に大量のサーバ、ラックや回線などを扱うことができ、これらを実際に扱いながら高度なスキルを身に付けていくことができます。さらにそれを、実際にお客さまにサービスとして提供するところまでを体験できます。ここまで経験できる会社というのは、国内でも数少なのではないか自負しています。
しかも何十万人という規模のユーザーと、バックボーンとデータセンターを含めた大規模インフラを保有しながらも、社員数は比較的少なくて分業もそれほど厳密に行っているわけではありません。つまり、1人の社員がチャレンジできる範囲が極めて広いのです。こうした環境の中で経験を積むことに喜びを感じられる人であれば、さくらインターネットで非常にいいキャリアを形成できるのではないかと思います。
司会 : ありがとうございました。